酒徒行状記

民俗学と酒など

フルートカクテル

twitterばかり更新してたけど、140字じゃ伝えきれない事もあるよねということでこちらも更新。

 東中野スモークソルト
 http://www6.ocn.ne.jp/~smokes/

に行くとバーテンダーT嬢が今週のカクテルについて相談があるとのこと。
 聞けば、マスターのS氏から大正時代のカクテルブック『コクテール』(前田米吉 大正14)から今週のおすすめカクテルを選ぶように言われたとのこと。
 私も手伝って、今週のカクテルを選ぶ。
 食中、食後のカクテルで冬っぽいのがいいとのこと。
 
 いくつか相談した結果、フルートカクテルというのを選ぶ。オレンジの皮のリキュール<アメールピコン>を使ったカクテルである。オレンジはこれからが旬なのでよいと思った次第。

 レシピは以下の通り。
 フルートカクテル
  ベルモット30ml
  アメールピコン30ml
  オレンジビター3ダッシュ
 これらをステアで出す。グラスについては指定はなかったが、名前にちなんでフルートグラスを選んでみた。

 これがなぜフルートカクテルと呼ばれるのかは不明だったので調べてみると
 前田の本で「フルートカクテル」というのは正確には「ブルート(Brute)」であったようだ。
  参考 カクテルカタログジェニュイン:Cocktail Catalog GENUINE
  http://www.siregenuine.com/recipe/hu/hu0430.htm#Hu423
 
 ただし、Brute Cocktailで検索してみると、上記レシピではなく
1 oz amaretto almond liqueur
1 oz dark crème de cacao
3 tbsp vanilla ice cream
アマレットとクリームカカオをアイスにかけるというまったく違うレシピが出てくる。
  参照:Cocktails WIKI
http://cocktails.wikia.com/wiki/Brute

 現代になってレシピが変わったのか不明であるが、なんともふしぎなことである。

 ちなみにBruteとは「獣のような, 獣的な, 動物の, 野蛮な」という形容詞。
 暗号を力づくで破るBrute force attackという言葉にもなっている。

 アメールピコンを使ったブルートカクテルは、オレンジの味の利いた、冬らしい素晴らしい一杯なので、ブルートでなく、フルートの方が似合うのではないだろうか