酒徒行状記

民俗学と酒など

中野星の会

 昔、「中野星の会」という天文サークルに参加していた。もう高校生の時分の頃だ。
 その頃は、野尻抱影のファンで、純粋な天文学ではなく、東西の天文の神話や星の和名に興味があった。初めは本や資料を読むだけであったが、だんだん実際に見るほうも興味が出てき、望遠鏡などで実際に星を見る楽しさを覚えていった。使っていた望遠鏡もミザール社の10cm屈折望遠鏡で、焦点距離が900mmもある古くて安いものであったが、それでも、木星の衛星や土星の輪、オリオンの星雲、すばる、おうし座のプレセペ、いくつかの重星などは今でも忘れがたく覚えている。
 そのうち、中野区のプラネタリウムで、中野星の会という天文サークルの存在を知り、一般に開かれていた天体観望会などを通じて、その会に参加するようになったのだった。
 今でもその天文サークルに参加している友人が、「今度、定例会で七夕に関する発表を行う」という連絡が入ったので、何年ぶりかで例会に出席してみた。

 東中野駅から10分ぐらいの公共の集会場が例会会場になっている。
 私が在籍していたころは、中野のプラネタリウムを会場にしていたのだが、中野区が会場の貸出規約を何年か前に変えたため、プラネタリウムは夜間使えなくなってしまったのだった。
 東中野の会場も何年か前に行ったことはあるはずなのだが、久しぶりすぎて、道に迷ってしまった。
 野良猫に餌をやっているおばさんに道を尋ねたり、記憶を何とか思い出したりして何とかたどり着くと、既に友人の発表は終わってしまった。仕方ないので、その後の定例の飲み会で友人に謝ろうと飲み会にも参加をすることにした。


 幸いにして、当時の会員も久しぶりの私を歓迎してくれ、話が弾んだ。こういうサークルの特徴の一つだが、さまざまな職種の知り合いができるということがある
 となりで飲んでいた人は東京タワーに勤めているのだが、テレビのデジタル化に伴い東京タワー以外に関東近辺にもっと大きなタワーができるかもしれないということであった。また最近は観光客も少なくなって来ているとのことである。
 もう一人、向かいで呑んでいた人は以前は池袋サンシャインのプラネタリウムに勤めていたのだが、プラネタリウムが外注化されたため水族館に異動になったとのことである。「なんだか最近のプラネは全天周映像を使った映画などを流すことが多くて、純粋に星空を見せる番組がすくなくなった」という意見には私も大きく頷いた。


 私も久々に、双眼鏡一つ持って、観望に行ってみようかしらんと思う晩であった。