酒徒行状記

民俗学と酒など

可盃 

 買い物の後は軽い飲み会になったので、「幕末酒場 やんなはれ」http://www.nes-irg.com/yannahare/に行こうと提案した。
 以前、友人宅で読んだ雑誌にのっていたので、気になっていたのだ。
 店はビルの地下一階になっていて、入口には「五時からぜよ」と書かれた坂本竜馬の写真パネルがあったり、新選組の「誠」の旗が飾られている。出るときに気付いたが、坂本竜馬の拳銃の模造品なんてのも置いてあった。
 店員も新撰組や脱藩浪人風なカッコをして目を引くし、メニューも「京葉もの・新撰組さらだ」「土佐藩くじらのユッケ」というのがあったり、「長州藩【面白きこともなき世を面白く】」なんて日本酒があったりする。
 なんとなく新撰組・幕末オタの腐女子が好みそうな雰囲気でもあったが、私自身そういう雰囲気が嫌いではないので良しとする。
 料理もものすごく旨いというわけではないが、まずまずであったが、一点、「また来たい」と思わせる点があった。

 それは「司牡丹 船中八策」を頼むと、猪口が可盃(べくさかずき)で出てくるのである。
 可盃とは高知県で使われる猪口の底がコマのように尖っている盃である。この盃を使う者は、普通に机に置いてしまうと酒がこぼれてしまうため、必ず酒を呑み乾してからでないと机に置けないのである。「可盃」という名は漢文で「可」の字は決して文字の下に来ず、必ず返り点を打ち、返って読むために、下に置かない盃ということで付いた名である。

 司牡丹は土佐の酒なので、可盃で出したのだろうが、なんともこれで呑むと酒が進むのである。
 あっというまに一人で3合ばかりをのんでしまった。
 母方の実家が高知なので土産物屋に売ってるのは見たことあったが、呑むのは今回が初めてであった。今度高知に行ったら是非買ってこようと思う。

 ところで、ぐるなびの店のホームページ。日本酒「蘭奢待 純米吟醸」の蘭奢待の説明を「宮中宮家の香木の名 宮さま達がラリってました。」 とするのはいかがなものか・・・蘭奢待は麻薬じゃないちゅうねん