酒徒行状記

民俗学と酒など

梅酒を漬ける

 以前、池袋のある店に友人と呑みに行った。
 友人は、飲食店で働いており、なんでも今度の研修で、好きな店に食いに行ってサービスの形態や店の感想を書かねばならないという。
 それに付き合って行った店だったのが、サービスは評判ほどにはいいようには感じられなかったが酒や食いもんのメニューに特徴があった。
 店内は昔の洋画の映画のポスターを飾ったり、BGMをジャズにしたりと若者風にしつらえた印象だが、メニューも最近の流行を気にして芋焼酎を集め、またそれがいかにも流行りに乗ってみましたという銘柄の品揃えであった。食べ物も韓国ブームの影響かやたら「韓国海苔の〜」とか「サンチュの〜」といったメニューが多かった。
 そしてもう一つ気になったのが、そこはやたら梅酒の銘柄が揃っていることであった。
 先日のニフティデイリーポータルZでも、梅酒の記事があったし、もしかしたら、私の知らないうちに梅酒が流行ってるのかもしれない。
 サービスも料理の味もとりたてていうこともない店であったがこの梅酒の中には「芋焼酎でつけた梅酒」「黒砂糖の梅酒」など、普段梅酒なんてものを女子供の飲み物と決めていた私の印象をかえさせてくれるものがあった。
 
 こんなことがあって、梅酒の味を再発見してみた私は、今年、梅酒をはじめて漬けてみた
 材料は
  梅1kg(ちょっと気合を入れて南高梅)
  ホワイトリカー35度 1.8L(乙類焼酎を探したが、度数の高い乙類はなかった。梅酒用の乙類はないものか)
  氷砂糖500g
 
 造り方は長年の経験者である母に尋ねながら造った。
 青梅を水で洗い、半日くらい陰干しにする。
 キッチンペーパーで水気を取りながら、ヘタを耳掻きの要領ではがす。
 瓶にヘタを取った梅を入れて、梅の半分くらいの焼酎を入れる。
 瓶をくるくる回すことで、梅全体に焼酎が回るようにする。
 氷砂糖をいれ、焼酎をすべて入れる。
 
 母が去年作った梅酒と李酒を飲んでみたが、市販の梅酒とは比べ物にならない、濃厚な味わいであった。
 今年のも上手くいけばいいと思う。十年くらい寝かせたい気もするが、多分3ヶ月目から手を出して、すぐなくなってしまうだろう。嘆かわしいことだ。

 ところで、梅を買った店では「申年の梅は幸運を呼ぶ」という言い伝えがかいてあったが、いったいどこの言い伝えなのだろう?