酒徒行状記

民俗学と酒など

弁天さまのお告げ

 ヒスイ展を見た後は、科学博物館の新館展示を見てきた。たしかにリニューアルされた新館展示の方が、ヒスイ展よりも面白いというのは頷ける話であったが、あまりに大量な展示のため、ゆっくり見ることが出来なかった。
 私一人なら、一日かけてみることも出来たのだが、なんせ同行のカップルがいるわけである。女性の意見を尊重し、昼飯に向かった。

 昼飯はカップルの希望により黒船亭というとこでハヤシライスを食う。
 当初、精養軒でハヤシライスを食う予定だったが、あまり旨くないという同僚の意見により、この店にしたのだった。
 ビール頼んでみると、ふむふむ確かに旨い。肉は柔らかだし、コクがあって、あまり辛くないのも良い。ビールとも良くあいまって、あっという間に一皿平らげてしまった。
 とはいえ、上野名物の精養軒のハヤシライスも一度食ってみたいものだ。なんとなく心残りな昼飯であった。


 めしの後は、カップルと別れて不忍池を弁天さまの方へ散策する。風は冷たいが、冬の良いお天気ではある。
 弁天さまに「良縁がありますように」とお参りして籤を引いたら「凶」であった。
 気落ちしながら読むと


  学びて然る後に
  足らざるを知り
  教えて然る後に
  究めざるを知る


 と偈があった。
 嗚呼、自分は4月から大学院で学究の徒に再びなるのである。学問をせねばならぬ。考えてみれば弁天様は伎芸の神様である。良縁なんぞ願っては凶が出るに決まっている。学問の上達を願うべきであった。
 改めて、社の拝殿で「民俗学を究めることができますように。良い論文が書けますように」と拝みなおしたのであった。