酒徒行状記

民俗学と酒など

朝松健『魔犬召喚』

 朝松健は今まであまり読んだことがなく『肝取村鬼譚』『崑央(クン・ヤン)の女王』『邪神帝国』くらいしか読んだことがなかった。どれもクトゥルフ物なのは、やはり中学生時分、矢野健太郎の漫画からCTULHUにはまったせいだ。(試してみたら、今、「ふんぐるい・むぐるうなふ・くとぅる・るるいえ・うがふなぐる・ふたぐん」となにも見ずに打ててしまった。ああ、穴があったら入りたい)
 北海道の瀬田寒原野に封印された魔犬の復活を、オカルトライター村松(朝松の分身か?)が阻止するというもの。ストーリーは恐怖を書いくというよりも、国家の陰謀を書く方に重きが置かれている。クトゥルフ色もあまりない。
ホラー小説はそんなに好きではない(クトゥルフのみ好き)が、こういう陰謀論を中心とした話はかなり好きだ。あと面白かったのは、主人公村松が、以前脱退した魔術結社からの呪詛に対して、「自分は魔術結社からの呪詛を受けているのではなくて、ただの神経症かもしれない」と悩むくだり。そこの描写は秀逸である。
解説によると『凶獣幻野』『天外魔艦』『屍食回廊』『神蝕地帯』とシリーズが続くようなので、こちらも読もうと思い図書館で探すが、在庫がなかった。同じ朝松健の『真田三妖伝』に手を出すが、時代劇なので読みたいものと色合いが違い断念。現代物ならばと『夜の果ての街』をとばし読みするがいまいちである。
 なんとか続編を探さなくては・・