酒徒行状記

民俗学と酒など

高田馬場「ガーリックチップス」

 口をはっかはっかさせながら店を出て、口直しに二軒目、馬場のBarガーリックチップスへ行く。
 ここはフライドポテトが旨くて学生時代よく食いに来ていた。
 当時は今以上に自由になる金もなく、それでも、白木屋やら養老之瀧でなく、バーで呑みたかった私は、給料が入った日に一番安いジンのボトルを入れておいたものであった。
 そして一人でバーで飲むときは、一杯目だけ贅沢をしてギムレットにし、それ以降は入れたボトルでジンのストレートかロックをちびちと舐め、腹が空いたらフライドポテトのみを頼む、という呑みかたをしていた。この時の習性が身についたのか、今では洋酒の中ではジンが最も好きな酒になってしまっている。

 同行の知り合いはアプリッコトクーラーだのカシスなんたらだの甘いのを頼む。
 この知り合いとは、やはりこのブログに出てくる九段下のバーに以前行ったのだが、知り合いの話では、そのとき私が勧めたカクテルに感動したのでそれを飲みたいとのことであった。
 自分が案内した店の、さらに自分が勧めたカクテルで感動してもらえるというのは、紹介者冥利に尽きるが、残念なことに私はそのとき何を勧めたのか、まったく覚えていなかった。なんとも不覚なことであるが、、よく考えれば、自分の呑んだ物だって怪しいのに、相手の飲み物を覚えているなんて到底出来ない相談である。
 気をとり直してジンのロックを頼む。ありがたいことに台風の雨がまだぽつりぽつりとしか来ていなかったので、ゆっくりと呑むことができた。