酒徒行状記

民俗学と酒など

長浜調査(第三次)

滋賀県長浜市に調査に行ってきた。もう三回目であり、すっかり馴染みの町となった。

今回も夜行バスによる現地入りであったが、今回は行きも帰りも同じ調査団の友人がいたので、比較的待ち時間等は気にならなかった
以下、出来事を羅列。

 ・行きの米原のバス停で浮浪者に絡まれた。
 東京〜長浜へ行く場合、直通の夜行バスはなく米原で列車に乗り換えねばならないのだが、そこの乗換えで時間を潰していると浮浪者に話しかけられた。
 花の絵と俳句を書いてそれで日銭を貰い全国を旅しているとのことなので、正確には漂白者(ながれもの)と呼んだ方がいいのかもしれないが、人相風体は一般にイメージされる俳人とは大分異なっていた。ワンカップ宝焼酎「純」と思われる)持って、妙な銀色の鉢巻をした風体だもの・・・
 なんでも、滋賀から福井を抜けて、直江津・寺泊から佐渡の両津へ渡るという。
 句と花の絵をくれるということだったが、列車の時間があったので断る。貰っておけばよかったかしらん?

 ・豊公荘の温泉
 長浜の豊公荘という旅館の温泉に日帰り入浴させてもらった。これも長浜に行った際の恒例。いつもは大浴場を借りていたが、今回は小さめの(普段女性用になっている)浴室であった。
 湯は鉄分を含んで茶褐色の湯。錆のにおいが体に染み付きそうな湯である。その分効能も高いに違いない。少なくともこの湯に入っていれば、鉄分不足の貧血で倒れることはあるまい。

 ・総普請
 調査地N町に行くと丁度春の総普請であった。
 ここらへんは、総普請といい、時期を決めて村民総出(正確には各戸から一人ずつでる)で集落の道や川の清掃を行うのである。
 今回の調査地は運がいいのか、第1次調査:総普請の墓清掃・第2次調査:オコナイと葬儀と行くと必ずイベントに当たっている。
 また、調査地の隣町F町でも川の清掃を行ってたので見学し、いくつか聞き取りを行う。

 ・彼岸・永代経
 春の彼岸の時期なので、墓参りの写真を撮らせて貰う。また永代経供養の法要があったのでそれにも参列。
 浄土真宗の行事に参加するのは初めてであったが、今まで見てきた日蓮宗曹洞宗の法要とは違い、法話に非常に重きを置いている宗派だというのが実感できた。
 途中休憩を入れて、2時間くらい法話があったが、なかなか、2時間も説教するってのは話芸が必要である。

 ・子ども会
 今回の調査では集落の社会組織・社会構造を担当している。ちょうど子ども会の新入生の歓迎会があったので、それを見学しに行く。今回得た情報では子ども会が夜番と称して、夜警に集落を回る行事があるということであったので、それを聞きに行く。
 面白いのは男の子と女の子で夜警の時に歌う唱えごとが違うこと。
 歌詞を聞き取ろうと、子どもに聞き取りをおこなったが「教えて欲しかったらDSLite買って」と言われたり、後に回られてリュックのふたを勝手に開けられて冷やかされたりと、散々にからかわれる始末。
 最後は何とか聞き出せたが、子ども相手の聞き取りは大人相手よりも倍以上疲れた・・・
 まあ、でも面白かった。

 ・旭日
 集落のM酒店は調査の都度に酒を買っていて、非常に親切にしてもらっていた。
 今回滋賀県愛知川(えちがわ)の酒造会社、藤井川本家の「旭日」という銘柄を勧められて呑んでみた。
 呑んだのは特撰と上撰だが、特撰のうまいことうまいこと。飲みやすく、でも丸い味とこくがあってあっというまに一升が空いてしまった。
上撰は特撰に較べると見劣りはするが、それでもまずまず旨い酒であった。
 あと、M酒店の主人の飲みさしではあるが、藤井本家が全国の神社に卸している御神酒(どぶろく)を分けてもらった。現地では白酒とも呼ばれている。
 封を開けてから暫く置いてあったので、味は少し酸味が増えているが、まずまずの味。てっきり火入れをして醱酵を止めているのかと思ったら、きちんとどぶろくの造り方で作っているようである。一度、聞き取りに行かねば。
 
 ・よじむ湯
 長浜市内の銭湯。帰りは夜行バス仲間のYさんと一緒にこの銭湯に行く。ここも二回目。前に、市内の飲み屋で教えてもらったのだった。
 「よじむ」の意味を番台にいた兄さんに尋ねるが、詳細はわからないとのこと。ただ「よじむ」とは薬の名であるらしい。
 20円で動くレトロなマッサージ器(アーム上下移動を椅子脇の車輪で手動で動かすもの)があるので、レトロ好きにはお奨めである。

 ・大通寺前の居酒屋
 店の名前は忘れたが、大通寺前の居酒屋で晩飯を食った。
 少し洒落た店構えで、中に入ると、カウンターで中年の夫婦が一組、さしつさされつで酒を呑んでいた。
 旅行のCMのようないい風情の夫婦であった。
 こちらは酒は呑まず、定食を頼む。
 干物定食1000円。鯵の干物。結構な味であった。機会があったらまた来て見ようと思う。

 ・bar「Von」
 店のマスターが風邪を引いたとのことで、今回は店のマスターに会えず。前回旨かった餃子も仕込み中で食えなかった。ただ、同行したYさんが昔ジャズでピアノを弾いていたということなので、喜んでもらえた。
 ギムレットタンカレーストレート等を呑む。