このページからご覧の方は、中国酒「白酒(バイジュウ)」初めての人でもわかる読み方辞典(序)からご覧ください。
「中国酒「白酒(バイジュウ)」初めての人でもわかる読み方辞典(4)」は、私があまり飲んだことのない白酒と、白酒以外のお酒で。
・牛栏山二锅头
繁体字表記:牛欄山二鍋頭
ピンイン:牛欄山二鍋頭
ピンインカタカナ表記:ニゥランシャン アルグォトウ
日本語漢字表記:牛欄山二鍋頭
日本語慣用読み:ぎゅうらんざん あるぐおとう
備考:北京の白酒はこれと紅星二鍋頭があるけれども私はこちらの方が口当たりが優し目。牛欄山は北京の地名とのこと。山があるわけではないようだ。
なお、二鍋頭とは蒸留の際に、初めに出てくる部分(酒頭)と、最後に出てくる部分(酒尾)を使わず、本当においしい二鍋目の酒身のみを使うことから。
酒頭や酒尾は度数が低かったり、不純物が多く、入れると雑味がでてしまうためである。
ウイスキーでも蒸留初めの部分と、終わりの部分を取り除いた部分を「ハート」と呼ぶが、白酒でも同じ技法が使われているのは面白い。
・紅棒槌酒
繁体字表記:紅棒槌酒
ピンイン:hóngbàngchuíjiǔ
ピンインカタカナ表記:ホンバンチュイヂウ
日本語漢字表記:紅棒槌酒
日本語慣用読み:こうぼうついしゅ
備考:棒槌はチョウセンニンジン(朝鮮人蔘)のこと。チョウセンニンジンを白酒につけた酒。効き目あるのかな、ちょっと疲れ気味なときに飲んでみたい。
・劲牌
繁体字表記:勁牌
ピンイン:jìn pái
ピンインカタカナ表記:ジン パイ
日本語漢字表記:勁牌
日本語慣用読み:けいはい/じんぱい
備考:最近小瓶をよく見かけるが飲んだことがない。よく見かけるのは茶色なので薬酒なんだと思う。湖北省のお酒とのこと。
・酒鬼酒
繁体字表記:酒鬼酒
ピンイン:jiǔ guǐ jiǔ
ピンインカタカナ表記:ヂウグイ ヂウ
日本語漢字表記:酒鬼酒
日本語慣用読み:しゅき しゅ
備考:酒鬼とはアル中のこと。アル中酒…すごいネーミング。
昔、友人のI先生に「他是酒鬼。(彼はアル中です)」と、クラフトビールを作ってる台湾人に紹介されたことがある。
「酒鬼」は、日本人の酒好きが冗談めかして「俺アル中だから」というのとはレベルが違って、「本当の人間の屑」に近いイメージがあると聞くのだけど、どうなんだろ。
実際、私が「酒鬼」と紹介されたとき、台湾人は「やべえやつが来た」という顔をしていた。
どんな酒か飲んでみたい。
・天津高粮酒
ピンイン:tiān jīn gāoliáng jiǔ
ピンインカタカナ表記:ティエンジン ガオリャンヂウ
日本語漢字表記:天津高糧酒
日本語慣用読み:てんしんこうりょうしゅ
備考:子供のころ家に一番近い中華料理屋は「天津飯店」という店だった。今でいう町中華だが、ここの中華丼がとても好きで、行くといつも母によくねだっていた。
この店、天津とどう関係があるかはわからないが、名前にも絡めてこの天津高粮酒を飾っていた。
子供心に、「あの黄色いボトルにはなにがはいっているのかなあ。きれいなボトルだなあ」と思いながら、料理を待っていたのを覚えている。しかしまだ、この天津高粮酒を飲んだことはない。
天津高粮酒もだけど、何十年かぶりに久しぶりに中華丼、食べに行こうかな。
すっごい旨い中華屋さん「天津飯店」発見! でも場所が中野富士見町なんだけど(笑) | はい。阿部秀之です!
・玫瑰露酒
繁体字表記:玫瑰露酒
ピンイン:méiguī lùjiǔ
ピンインカタカナ表記:メイグイルーヂウ
日本語漢字表記:玫瑰露酒
日本語慣用読み:めいぐいるーしゅ
備考:これもやはり天津飯店に飾ってあったお酒。私はこのお酒のおかげで小学生の時から玫瑰という字が読めた。
玫瑰はハマナスのこと。ただし、これを初見で読める日本人を見たことがないので、日本語慣用読みの付与は悩む。日本語読みなら「まいかいろしゅ/まいかいつゆしゅ」となるんだろうけど、「めいぐいるーしゅ」でそのまま覚える方がいいと思う。
読めるけど読んだことのないお酒の一つ。
・竹叶青酒
ピンイン:zhúyè qīngjiǔ
ピンインカタカナ表記:チューイエ チンヂウ
日本語漢字表記:竹葉青酒
日本語慣用読み:ちくようせいしゅ
備考:南條竹則先生の『酒仙』で知った酒。爽やかで甘くておいしい。楊州飯店でよく飲んだ。汾酒に竹の葉や陳皮などの生薬を漬け込んだもの。
竹葉青酒は古来中国山西省に伝わるリキュールの一種である。
中華の酒は、大別して三つに分けられるといってよい。一つは、米を主原料にした醸造酒で、黄酒といい、紹興酒がその代表である。これの年代物を 老酒といい、瓶に入れて十八年寝かしたものを状元紅、十五年寝かしたものを女児紅という。いま一つは、麦 や高梁を原料にした蒸留酒――これは多く透明なので白酒、俗に白乾児と呼ばれる。茅台酒、西鳳酒、五糧液などが有 名だが、白酒は土地ごとに無数の地酒があり、品質もピンからキリまである。これらの他、白酒をベースにして薬草や動物の骨などをつけこんでつくる薬酒があ り、五加皮、虎骨酒、三鞭酒などがその代表だ。
山西の竹葉酒は、高梁からつくった白酒に竹の葉を漬けて風味を加えたもので、色は薄翠色、香り高く、甘い。そして強い。この酒の起源はおそらく 遠い昔にさかのぼるだろう。昭和の末頃、中国で貴人の墳墓が発掘され、副葬品として古い酒瓶が出てきたことがある。瓶の蓋を開けてみると、中の酒はあらかた蒸発していたが、それでも底に薄翠色の液体が少しばかり残っていた。酒気はとんでいたが、かすかに竹の香りがしたとい う。あれなども竹葉青酒の仲間ではあるまいか。左近は以前横浜で、大木という漢学者の友人とともに、この山西の竹葉青酒を賞味したことがあったけれども、今口にしている酒は、それとは全然別物だった。
酒精の度数は、ふつうの竹葉青酒よりも低い。だが、香りははるかに高い。口に入れると、竹の匂いのする綿菓子を頬張《ほおば》ったような感じが した。かおりが舌から口蓋、鼻頭にわきあがって、ほろほろと溶けくずれてゆく。幼い日の慕情のごとくほのかな甘味が、竹の葉の苦味にからんで いる。(南條竹則『酒仙』)
ああ、こういう酒を飲みたい。
・桂花陈酒
ピンイン:guì huā chén jiǔ
ピンインカタカナ表記:グイホア チェンヂウ
日本語漢字表記:桂花陳酒
日本語慣用読み:けいかちんしゅ
備考:白酒ではなく、白ワインに桂花(キンモクセイ)の花を漬けたもの。実は初めて飲んだ中国酒はサントリーの桂花陳酒だった。その昔缶入りの桂花陳酒の炭酸割が売っていたはず。
酒を覚えたてで、そのころは180mmの小さい缶ビールも飲めなかったが、不思議とこのお酒はおいしく感じた。
・绍兴酒
ピンイン: Shàoxīng jiǔ
ピンインカタカナ表記:シャオシンヂウ
日本語漢字表記:紹興酒
日本語慣用読み:しょうこうしゅ
備考:最後は紹興酒。シャオシンヂウあるいはシャオシンヂォウと呼ぶと、中国人の店員さんにも通じるかと。
私の周りには温めてザラメを入れたり烏梅を入れる人が多いのだけど、私はいれない方が好き。でもたまにやると口が変わっておいしい。
たぶんザラメを入れたり烏梅を入れるのは戦前、あまりよくない紹興酒(すっぱくなったやつ)が入ってきたからでないかと思っている。
その昔、職場で資金を出し合って紹興酒を甕(14L)で買って、皆で宴会をしたことがあった。20人~30人で飲んだが、すべては開けられず、死屍累々となっていた。
余るのを見越して、新品の灯油ポンプで空き瓶に移して、皆に持って帰ってもらったのだった。
中にはウーロン茶のペットボトルに詰めたため、別の日お茶だと間違えて誤飲したやつもあった。
以上「中国酒「白酒(バイジュウ)」初めての人でもわかる読み方辞典」であった。
ぜひ活用して、白酒をのむ仲間が増えることを願う。
乾杯!白酒!