<巻頭言>
最近、よく日本中国白酒協会さんのイベントにお世話になっている。
参考:日本中国白酒協会公式サイト
その関係で日本中国白酒協会の中心人物の一人、中川正道さんが「1日限定白酒bar」を四谷ハリスタでやると聞いて、伺った。
参考:中川正道氏
【1日限定🔥白酒bar 】
— 四川フェス@次は5月開催🔥 (@Amazing_Sichuan) 2023年1月30日
2月8日(水)18時~22時にゆるりと開催!おつまみは四川料理の下酒菜を作ります!
場所:四谷ハリスタ
会費:2000円~3000円ぐらい
白酒は四川:沱牌六粮、江蘇:洋河大曲、 山西:汾酒を用意。出入り自由 、気楽に遊びに来てください~😆
参加▼https://t.co/KvYkKujpe9 pic.twitter.com/2UO2tW5u1O
日本中国白酒協会のイベントは中華料理屋(ガチ中華)の店で行われるので、中国滞在経験者や、私のような中国料理・中国文化好きが多い。
そのため、当たり前のように白酒の名称が(中国語読みや日本語読みでも)読める人が多い。
しかし今回の白酒barの会場は雑誌『食楽』の方がキッチンスタジオを限定バーにして公開している、おしゃれバーである。このため普段、中華料理や白酒に全くなじみのないお客さんも多かった、
さて、そこで飲んでてひとつ気づいたのだが、白酒になじみのないお客さんが、カウンターで酒を頼むとき、皆、酒銘を言わず、「さっきの」や「隣の瓶のやつで」というように指さしで頼むのである。
昨日の白酒barで気づいたのだけど、白酒頼むとき「さっきの」「隣の瓶のやつで」と言うように、名前を呼ばずに白酒を頼む人が多いのである。
— 酒徒吉風 (@syutoyoshikaze) 2023年2月8日
今現在、白酒を頼む人は、中国経験者だったり、漢文好きだったりして、当たり前のように白酒の名前が読めるが、初心者には白酒の名前が読めないのである。
聞いてみると、「酒の名前の読み方がわからない」ので、どうしてもそうならざるを得ないとのこと。
たとえば「沱牌六粮」という最近、私のお気に入りの白酒がある。
この酒、日本語読みするにしても、中国文化に慣れてなければ、「滂沱たらしむ」の「沱(だ)」と読むことが類推できたり、「粮」が「糧」の異体字などとわかって「だはいろくりょう」と読める人は少ないだろう。
あるいは「洋河大曲」と日本人でも読める漢字で構成されている酒でも、「ようがだいきょく」と呼んでいいのか、それとも何か特殊な四文字熟語なのか、白酒になじみのない人には悩ましいと思う。
また仮に酒瓶や化粧箱に「yánghé dàqū 」とピンインが書いてあっても、これをどう読んでいいかは、中国語を知らない人には、文字通りチンプンカンプンである。
ものを愛すにはまず名前からである
ここはひとつ、ガチ中華でよく見る白酒の読み方を示して、白酒をこれから飲みはじめようという人の助けとなろう。
名づけて
「中国酒「白酒(バイジュウ)」初めての人でもわかる読み方辞典」である
<凡例>
中国酒の名前を記すにあたって困るのは、中国語では簡体字・繁体字二つの文字があるという点である。
白酒は大陸で飲まれることが多く、簡体字で記載されることが多いが、酒瓶には伝統的な美意識に基づくのか、繁体字を使うケースも多い。
例えば、泸州老窖という酒があるが、メニューには泸州老窖とあっても、瓶には繁体字で濾州老窖と記載されているような酒もある。
初学者にはなかなか二つの文字を同一の文字として認識するのはむつかしい、そこで、両方に対応できるよう簡体字をキーとして、繁体字も記している。
中国語の読みを記した発音記号がピンインである。これ通りに読むのが一番正解なのだが、ピンインを正しく読める人は、こんな辞典はひかないと思う。
ピンインでそれらしく読めるよう、ピンインをカタカナ表記したものをつける。
ただし、このカタカナ表記はあくまで参考である。
たとえば紹興酒のピンインを、もしカタカナ読みすると「シァォ シィン ヂ(ォ)ウ」が近いが、これは初心者が覚えるのは困難である。
このため本辞典ではカタカナ表記は目安として、ある程度簡略化して「シャオシンヂウ」というような記載にしている。
なお、ピンインについては機械的にピンイン変換サイトを使用した。誤りがあったら指摘されたい
・日本語漢字表記・日本語慣用読み
日本語漢字表記は簡体字を日本漢字に直した表記である。
ネット注文なんかを見ると、簡体字でも繁体字でもなく、日本語漢字表記になってる白酒も多い。このため日本語漢字表記も記載する
日本語慣用読みであるが、基本的には日本漢字表記を音読みしたものを記載するが、大多数の白酒は日本語慣用読みが決まっていない。
日本語慣用読みが複数あるものは「/」で示す。
また。「茅台酒(まおたいしゅ)」のように中国語の読みが日本語慣用読みとして定着しているものはそれを記載した。
・本辞典の使い方
というわけで、実は白酒の読み方
・ピンイン
・ピンインカタカナ表記
・日本語慣用読みの三種があるのが現状である。
日本で、中国人の店員さんに注文するときは、ピンインで読むのが一番正しい。
しかしそれができない初学者の場合は、ピンインカタカナ表記、日本語慣用読みの両方で注文するのがいいと思う。
一方、白酒を知らない日本人に、「うーりゃんいえ」とピンイン片仮名表記で読んでも、まったくなんのことか伝わらない。日本人同士ならば日本慣用読みで「五糧液(ごりょう えき)おすすめだよ」というように話すのが一番良いかと思う。
なお、私はまだ中国語を勉強し始めた初学者である。いろいろ誤りも多いと思うので、適宜、twitterで指摘してくださればありがたいです。
■目次■
中国酒「白酒(バイジュウ)」初めての人でもわかる読み方辞典(序)(本記事)
中国酒「白酒(バイジュウ)」初めての人でもわかる読み方辞典(1)茅台・五粮液・舎得シリーズ - 酒徒行状記
中国酒「白酒(バイジュウ)」初めての人でもわかる読み方辞典(2)四大銘酒(茅台を除く)・八大銘酒の一部(剑南春・郎酒・泸州老窖、明江四川白酒、洋河大曲)) - 酒徒行状記
中国酒「白酒(バイジュウ)」初めての人でもわかる読み方辞典(3)孔府家酒、老龙口、紅星二鍋頭、金門高粱酒、江小白 - 酒徒行状記
中国酒「白酒(バイジュウ)」初めての人でもわかる読み方辞典(4)牛栏山二锅头、紅棒槌酒、劲牌、酒鬼酒、天津高粮酒、玫瑰露酒、竹叶青酒、桂花陈酒、绍兴酒 - 酒徒行状記