酒徒行状記

民俗学と酒など

歯ブラシ職人田辺重吉伝

 最近更新していなかったので短い記事をば

  デイリーポータルZの記事で「磨きやすい歯ブラシ 極 」という歯ブラシが勧められており、試しに買ってみたが、すごく使い勝手がいい。気に入って何本か買い増ししてしまった。

dailyportalz.jp

  さて、この歯ブラシ、パッケージによると

10才の頃から歯ブラシを作りはじめ、70年にわたり「磨きやすい」歯ブラシを追求し続けてきた、生粋の歯ブラシ職人さん。そんな田辺さんの長年の知識と経験をもとに開発された歯ブラシ(パッケージより)」

とのことである。

 パッケージには、そうした説明書きと、いかにも町工場っぽい機械の前で、実直そうなおじさんが、考案した歯ブラシを見つめているという、頼もしい写真が写っている。 写真の下に田辺重吉氏と写真があることから、さだめしこの人が田辺重吉氏なのであろう。

田辺重吉氏写真(デイリーポータルZ「親の顔より田辺さんの横顔を見ている」より引用)

 

 寡聞にして、歯ブラシ職人の世界は知らないのだけど、きっとその業界では伝説的な職人なのかしらんと思って、気になって田辺重吉氏をググってみた。

 

 うーん…WEBだと本人の情報あまりないなあ。 

 かろうじて分かった情報では、この田辺重吉氏の歯ブラシを作っている会社は、「株式会社タナベ」という奈良は田原本町のある会社の製品らしい。

 

www.jukichi.jp

 この会社の企業概要を見ると、 田辺重吉氏は

1933年、はじまりは、10歳の丁稚奉公から。

1933年、創業者 田辺重吉10歳。わずか10歳で、当時は珍しくなかった丁稚として小さな歯ブラシ工場へと奉公に出ました。もちろん、はじまりは全て手作業。今につながるタナベ歯ブラシづくりのはじまりです。」

 とある。 

 ふむ、そうすると田辺氏は1923年生まれか。

   あれ、1923年生まれ…そうすると98歳?(2021年現在)…パッケージ写真の方は60代か70代くらいに見えるけど…よくよく考えると、パッケージの説明も「10代から歯ブラシを作り、70年間」だから80歳にはなってるはずである。

 それと比べても写真の人物は若く見える。
 この写真はだれ?別人?とも思ったが、よくよく考えると、田辺重吉氏の20年か30年前の若かりし頃の写真ということなのだと気づいた。

 

 産経新聞では2019年の記事として  

www.sankei.com

 販売しているのは「『磨きやすい』歯ブラシ」。ライフレンジと、歯ブラシ製造会社「タナベ」(同県田原本町)が平成19年に共同開発した。タナベ会長で、70年を超えるキャリアを誇る歯ブラシ職人、田辺重吉さん(95)が作った歯ブラシがもとになっており、イラストのないシンプルなものは全国のドラッグストアなどで月間80万本を販売する人気商品だ。

とあり、2019年まではご存命であったことがわかる。また、2018年の新社屋建築の際には新社屋の落成イベントにも出席しており、お元気であるようである。

 

womanlife.co.jp

  2021年現在の田辺重吉氏の消息は分からないが、ご存命であるなら、歯ブラシ職人の生き字引みたいな方であろう。

 

 幸い株式会社タナベでは、工場見学も行っているようである。

  見学・体験 | TANABE-株式会社タナベは歯ブラシを作る会社です-

 奈良に行ったら、工場を見学し、一度、田辺重吉氏の消息と現在のお顔を拝見したいものである。そして、株式会社タナベに社史として「歯ブラシ職人田辺重吉田辺重吉伝」を刊行してもらいたいと思う次第である。