汁無しタンタンメン、よだれ鶏、炸鶏排、米線…近年、中華系の方々が増えているせいなのか、様々な中華食材や中華料理が日本に定着していて、中華料理好きとしてはうれしい。
とくに、大好物のよだれ鶏(口水鶏)が定着しつつあるのはとてもうれしい。
よだれどり、どうしても「よだれ」という語感に抵抗ある人もいたが、「よだれどりの素」なんていうソースまでスーパーに並べられるようになって、今ではいちいち
「よだれ鶏のよだれというのは、中国の作家、郭沫若が故郷の味を偲んで、「この鶏料理の味を思い出すとよだれが出る」としたエッセイに基づいたもので、由緒ある名前なのですよ」
といちいち説明を入れなくてもよいようになったのはありがたい。
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さて、よだれ鶏に次いで、日本でブームが来てほしい中国料理の妄想をしてみる。
大抵こういう料理は、自分の好きな料理だったりするので、日本で気軽に食べられると嬉しいし、なによりかにより、早いうちから書いておけば、「自分はこの料理に早くから目をつけていたもんね」とドヤ顔ができる。
ではでは、「日本で今後、ブームが来る(来てほしい)中国料理!」第一回は「三杯皮蛋」をとり上げたいと思う。
「三杯」というのは酒、ゴマ油、醤油を合わせた調味料の事。日本でも二杯酢(酢と醤油をまぜる)、三杯酢(酢と醤油とみりんまたは砂糖をまぜる)というのがあるが、それの中華版だと思うとよい。
この三杯で、鶏肉やらジャガイモやら皮蛋やらを炒め煮にするのを「三杯」と呼び、鶏ならば、三杯鶏、ジャガイモなら、三杯馬鈴薯、皮蛋なら三杯皮蛋と食材によって名前が変わってくる。
私は食べたことはないが、台湾の粉丝(Twitterフォロワー)、Cyrixhero @cyrixhero 氏の情報によるとタマカイ(龍胆石斑)を食材にした三杯龍胆石斑もあるとの由。
白身魚でやるのもいいだろう。
三杯のたれのほかにこの料理の特徴はバジル(九層塔)を大量に加えることである。
少し甘辛な醤油の味にごま油とバジルの香りが相まって、夏向きな良い料理である
百度をひくと、この合わせ調味料は江西料理がもとで、労に繋がれた文天祥のために獄卒が限られた材料で、調味料を作って差し上げたものが、後に、客家料理にとりこまれたとある。
日本では客家料理というより、台湾の名物料理として知られている。
自分も、この料理はかつて麹町にあった台湾料理の名店<台湾食堂>で覚えた。
私が、この店で好きだったのは三杯皮蛋。
レシピはこんな感じ。
1.酒(できれば紹興酒がよい)・醤油・ごま油を同量ずつまぜる(中華料理では、先に合わせ調味料を作っておくのを椀献(わんちぇん)とよぶ。)
2.適宜味を見ながら、1の調味料に砂糖を加える
3.フライパンに油をひいて、弱火で生姜とニンニク・唐辛子適量を炒めて香り付けをする
4.油に香りが移ったら、一口大にした鶏肉を中火で炒める
5.鶏肉に半ば火が通ったら、串切りにした皮蛋を加え、1の調味料を入れる。
6.調味料を入れたら少し火を弱くして、10分ほど煮て水分を飛ばす。
7.水分がだいぶ飛んだ段階で大量のバジルと黒酢一匙を入れて、蓋して余熱でバジルに火を通して完成。
※正しいレシピや分量は適宜のサイトをご覧下さい。
今日作った三杯皮蛋。今日帰ったらまた食べるんだ pic.twitter.com/GPFPox0v7M
— 酒徒吉風 (@syutoyoshikaze) 2023年7月2日
普通の三杯鶏もおいしいが、この三杯皮蛋は火を通して味が濃くなった皮蛋の風味が
、バジルと甘辛の三杯の味(砂糖と唐辛子を少し多めに入れるのがコツ)と合わさって、より最高なのである。
皮蛋は火を通してもうまいというのは大声で広めたい料理方法の一つである。
自分は夏、バジルを育てているが、一人暮らしだとどうしてもバジルの葉の成長に消費が追い付かず、葉っぱが余ってしまう。この料理なら、一気にバジルを消費できるのでお勧めである。
シソもバジルもそろそろ食べ頃だな pic.twitter.com/q7lt4ssSOj
— 酒徒吉風 (@syutoyoshikaze) 2023年6月15日
この料理、なかなか、現地味の台湾料理屋でないとなかなか見かけない。
タイヤル族の女将さんが経営する、新宿中井の<茶屋>では三杯鶏はあるが、三杯皮蛋は出していなかった。
ぜひ、日本でも、ブームになって、あっちこっちで食べられるといいのだけど。